名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

酔っぱらいは無視しよう

貞享2年5月9日。
建中寺の前に住む町人が東矢場のあたりに畑を持っていた。
父が鍬を持ち、子は肥桶をかついで狭い道を歩いていると、前から大小を差した奉公人らしき者がやって来て、桶が当たったと腹を立てる。
必死で謝るも許してはくれず、脇差を抜いて鍬を持つ父の指を切り落とす。
それを見た子が男の頭を棒で強く殴りつけると、男は溝へ倒れ込み気を失ってしまう。父子はその刀を持って急いで家へ戻り、町役人へ事の次第を報告する。
町役人はもっともなことではあるが、大小を持ってきたのはけしからぬことと云々。
しかし何とかうまく大小を返す方法はないものか思案と云々。
この男は来愚静庵に召し抱えられており、頼まれて末森村へ請(文)を取りに行き、酒に酔ってこんな事件となってしまう。
主人も酒に酔っていたのなら仕方がないと大小を取り戻すことに納得する。
そしてお互いの過失はなしで済ませる。