元禄15年7月19日。
国用人朝岡甚五右衛門に彦坂主膳のことは親類縁類などに十分気にかけておくよう申される。
松井十兵衛にも小頭がこのことを申し渡す。
昨日から彦坂平太夫のことは妹婿郷右衛門のことであるので遠慮(昼間の出入りをひかえる刑罰)するようにとのことであったので遠慮する。
三尾惣右衛門・伊那左之右衛門らも岩村に親類があったので遠慮する。
中村平兵衛と妻は了慶・吉田宗与とともに十三郎の芝居を見ていた。
鈴木治部左衛門召仕が酒に酔って阿部縫殿歩行と共にやって来た。
平兵衛の前いた女の前にうずくまった。
女は煩わしくて帰ってしまった。
縫殿歩行が平兵衛らに言うにはこの者は酒に酔っているので許してほしいと云々。
この酔っぱらいは後ずさりし、平兵衛などにもたれかかり、足を投げ出して無礼をはたらいた。
平兵衛は取り合わなかったけれど、僕とあれこれ言い合う内に町方から名を尋ねて去らせた。
芝居から出れば目付の仕事で、また名を聞いて縫殿歩行にこの酔っぱらいを引き渡した。
歩行が言うには、途中で道連れになっただけで家から連れ立っていたのではないと云々。
縫殿の歩行は追放となる。
治部左衛門の召仕は成敗すると云々。
平兵衛はまもなく願い出て隠居する。