名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

名古屋の町中から津島の火事が見えたのか

元禄5年3月13日。
寅5刻(午前4時)、僕がしきりに門をたたいて火事と言うので、文左衛門は外に出て見てみると、西の空に炎が巻き起こり火花が空を舞っていた。
しかし、遠くて火元まで行くことはできなかった。
後で聞くと、津島峠町伊藤長十郎のところから亥五刻(午後10時)に火が燃え出たと。
驚いた人が群れをなしていると、四方から同時に火が燃え出て煙が周りを覆い、風はなかったが消し止めることができきなかった。
大騒ぎしながら人々が我先にと逃げ出したので火は燃え上がるのみであった。
翌日巳の刻(午前9時)には火はおさまった。
焼けた家の数は760余軒と云々。
文左衛門の考えでは、近頃名古屋でも火事が多く、原因は付火によるものであった。
そのため、町では夜ごと火の用心と告げてまわったので津島へ行って火を付けたのではないかと。