名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

情念の女

宝永4年9月11日。
近頃、中嶋庄蔵妻が以前備前屋の手代だったという本町の古手屋と密通しており、2人で密かに出奔しようとするところを見つけ出し、妻を引き留めた。
あるいは、関係を持っているところを見つけ出したとも。
この妻の母は竹腰宗鎌の愛妾で名前はロンであると。
とても美人で上品であったので近衆の者たちは皆心を動かした。
宗鎌が死んで暇が出された。
橋爪十太夫は以前から思うところがあり、約束でもあったのかこの女を外に囲った。
その間に女の子を産んだが、これが庄蔵の妻であった。
橋爪はこの妾と一緒に伊勢を参宮するなどとても愛していたが、その後金が続かずやむを得ず別れた。
このため大竹天外の妾となり、天外とともに殺されてしまった。
庄蔵の妻は酒好きで淫乱であった。
今年の4月、祭礼見物にこの古手屋のところへ親類と共に出かけた。
人目もはばからずこの町人と酒宴を行い、それは見苦しいものであった。
庄蔵はその時在江戸であった。