名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

谷右衛門さん、どうしちまったんだ

元禄8年10月8日。
文左衛門が忠兵へ行き、夕飯を御馳走になる。
すると勘助が行方がわからなくなっていた。
方々を探し回り、大曽根へも御足軽浅右衛門を遣わす。
留永兵右衛門、鑓持谷右衛門は中間に酒を買いに行かせた。
その時、中間頭忠左衛門は用があって訪ねてきており、皆で話していると中間が帰って来た。
忠左衛門が激しく叱りつけていると、谷右衛門が現れて、頼んで酒を買いに行かせたのだからそんなに叱りつけるなと言った。
忠左衛門は怒りがおさまらず、悪口を言い始めた。
谷右衛門も怒り出し、脇差を抜いて切りつけたが、梁に当たって頭を少し傷つけただけであった。
忠左衛門は驚いて組み伏せようとするが、谷右衛門は力が強くて組み伏せられず、押し倒した。
その時、馬屋の者が走り出て谷右衛門の脇差を取り上げたが、谷右衛門は押さえつけた忠左衛門の脇差を抜き取った。
しかし、これも取り上げられ、怒って脇差を部屋に取りに行った間に忠左衛門は台所に逃げ込んだ。
谷右衛門は追いかけるも追いつけなかった。
兵右衛門は台所で酒を飲んでおり、気でも狂ったのかと激しく谷右衛門を叱りつけた。
すると谷右衛門は脇差を持ち直してしゃがみ込み、考えがあってのことと。
今は本懐を遂げず、御手討にあずかろうと云々。
そのため捕まり、縛り上げられる。
10日に下屋敷で谷右衛門は切られる。
忠左衛門は所払いとなる。