名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

人命より金か

宝永3年3月13日。
瀬戸の者34人が伊勢へ向かうため夕暮れ前に福田から下一色へ船に乗った。
この船は古く、さらに1艘に多くの人が観る槍乗ったので、水が舷(ふなばた)を浸し、とても危険だった。
船中の者が危ないから早く岸に着けてくれと言うと、初めは1人前1銭だと言っていたのに5文だと言った。
いくらでも出すからまずは岸に着けろと言ったが、船頭は岸に着いてからでは金がとれないと思い、船中で銭を集めると話し合っているうちに横木が折れ、底が抜け、水が入って来た。
我先にと大騒ぎとなり、深さもわからないのに飛び込んで20人が死に、18人の死体が上がった。
高麗十左衛門に命じて大網を引かせ、22日に死体1体が上がった。
船頭は預けられる。