名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

弱い者にしか相手にできない腰抜け者

宝永6年4月27日。
升屋町あかものや(ぬりもののこと)の召仕女が首を吊って死ぬ。
妊娠したためか。

この日、狼を撃ち、老中などへ持ってくる。

近頃、町々を無法者が練り歩き、婦人・女の子を剥ぎ、鼻紙入・巾着などを無理やり奪っていた。
これは小普請高橋弥介の子庄蔵という者であった。
十人組小池林太夫の14になる弟がある夕暮れ門外に出ると、刀を差した1人が現れて声をかけて近づき、ちょっと話があると無理やり連れて行くのを途中で見た者があった。
家へ告げると林太夫の家では驚き、方々手分けして追いかけると大林寺の前に2人が立っており、暗くて顔が見えなかったので誰かと咎めると、1人は林太夫弟の与三郎、1人は誰ともわからない諸士であった。
どうしたのかと尋ねると、与三郎が言うには、脇差を替えてくれと言われたが応じないと、それならば鼻紙袋(今ならポーチ)か下緒(刀の鞘についた紐)を望むので、ここでは絶対に渡さないのでぜひと言うならわが家へ来るよう言ったと云々。
すぐに大勢で取り囲み、林太夫へ家へ向かった。
途中でこの男は走り出して逃げ去った。
逃げるままにしておいた。