名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

この兄弟はたいしたことのない人物

元禄16年6月24日。
近頃、冨永弥五介と昨年立ち退いた弟が川名海道(飯田街道)を行くと、途中で乞食2人が道に伏して足を投げ出していた。
兄弟はこれを叱って足を踏みつけて通ると、乞食は悪口を言った。
兄弟は怒って踏みつけようとすると、逆に打ち叩かれて引きずりまわされた。
供の僕1人も打ち叩かれて、何とか逃げ去った。
この乞食はごまの灰という悪党であったと。
あるいは昨年弥五介弟に切られた子どもの父親の足軽で、日ごろから何とかして恥をかかせようと思い、畑に耕作に出て非人のふりをして道に伏せていたとも。
駿河町下の輩はこれを見た者が多かった。
弥五助は近所へ行って、退散した方がいいかと相談したが、それは自分が決めることと取り合ってもらえなかったと。
伯父千村惣兵衛はこれを聞いて弥五助を呼び寄せて問い詰めるとひどく謝ったと。
惣兵衛に内緒は通じず、冨永彦兵も呼んで聞くと、こちらもひどく謝ったと。