名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

確かに馬鹿げて愚かな行為だ

元禄15年4月17日。
辰3刻(午前7時過ぎ)前、祭礼が始まり、未刻(午後1時)に終わる。
(中略)
文左衛門は家中の者と2丁目へ見物に出かける。
山車が戻って来る際、甥の19になる上田五兵衛養子弥一左衛門がひどく酔っぱらい、伝馬町で見物していたが、飛び出して鐘捲きの車引きに小便をかける。
腕を広げ、肘をまくり、その失態を話す気にもなれない。
皆酔っぱらいと相手をしなかった。
京町通りまで山車の側を勢いよく歩いていくが、評定所の前に出ては如何なものかと辻で警固する。
足軽が制してこの男は京町通りへ立ち去らせる。
この時、刀を抜こうとして押しとどめられ、自ら少し指を切ったと。
あるいは突き倒されるとも。
あまりに見苦しいことであった。
弥一左衛門は未だに御目見えの者ではなかった。
連れの瀬戸与太夫兄弟はこの行いを止めることができず、先に帰ってしまったと。