元禄6年7月15日。
七間町の紙屋孫兵衛と煙草屋七郎右衛門は日頃から酒飲み友だちで仲が良かった。
この夜、ふたりして痛飲し、孫兵衛は踊り見物に出かけようと七郎右を誘うが、今晩はもう寝ろと日頃の気安さから七郎右は断った。
すると孫兵衛はいつもと違って怒りだし、脇差を抜いて切りかかった。
七郎右は驚いて寝起きのままで帯が解けたまま走って逃げだすが、孫兵衛は追いかけて本町の角で切りつけ、七郎右は転んでしまう。
好機と切りつけようとしたのを大勢が出て来て取り押さえた。
孫兵衛は牢に入る。
七郎右が言うには、このまま傷が治らず死んでも少しも孫兵衛を恨まないと。
日頃からよく知った仲であり、少しも嫌ってはいない。
公儀にはお詫びし、孫兵衛は元のように務めさせてほしいと。