名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

結構度胸のすわった詐欺師だな

文政4年1月3日。
勝川の船場(船着き場)で前日からブラブラしている者がいた。
船頭と仲良くなって言うには、自分は京の者だと。
去年の冬に行方をくらました者がおり、おそらくここを通るの待っているなどとよもやま話をしながらここに滞在していた。
3日の昼頃、伊勢参り者が2人やって来る。
どうやら信州の者であった。
船を用意してもらおうとしたところ、かの者が御諚意(命令)と言って2人を召し捕った。
2人はうろたえて言い訳をするも聞き入れなかった。
程なくして信州の者9人がやって来て2人に尋ねると、2人は事細かく答えた。
9人は哀れに思い、旅は道連れと言うの共に付き添って行こうと言った。
かの者は合わせて11人を連れて熱田方役所へ向かい、しばらくすると大曽根に着く。
そはや(蕎麦屋)に入って持ち物を調べ、金銀合わせて4両2分を確め、橦木町を通り、善行寺筋を片端へ曲り、長者町まで来る。
熊膽丸(末広町漢方薬屋)前に出て、本町筋を山王横町まで行き、川端へ出て、住吉の下渡辺下屋敷の裏門でここが役所だと11人を細引(細い縄)で数珠つなぎにし、本門より廻り来るようにと言って金銀を取り上げ、すぐに逃げ去った。
賊は京の者のようであった。
山崎に橋の上で召し捕らえられたと。