名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

しかし、金を借りておいて偉そうに

米価の下落が続き、家中の者が困っているのでいろいろと御容赦(免除)することがある。
それをここに記す。
これと関係して小笠原三九郎殿(大寄合特席、大御番頭)が御老衆配下の者たちのことでいろいろと願い出るが、大御番頭の役を解かれることとなる。
このことでいろいろと噂が流れ、大番組の中で小笠原の組の50人が瀧川豊後守殿の屋敷を襲うなどとの噂もあったので、御役御免の11日目に帰役(元の役に復する)を仰せ付けられる。
これにより事なきを得る。
このことについてはいろいろと悪評があったがここでは除いておく。
御容赦することはこの通り。
御家中の輩は家計がひっ迫している上、米の価格も下がり、旁諸(諸士)が借金の返済にも困っていると聞き及んでいる。
特別に当卯年から拝借した金全て返納は必要ないこととする。
ただし、右の通りであるので、今年暮れに役所へ返済した者は追って割り戻す(一部を返す)こととする。
一 御小納戸頭取取扱の御金の者は別段(特別)にすること。
一 御切米・御足高などを仕送る(用立)米屋から借用した金銀ならびに知行所物成取締(年貢)で百姓・町人等から借用の金銀は今後無利子で50年かけて返済することとする。
もっともこのことは金主(貸付者)どもへも言い渡すこと。
12月。
御家中の輩は家計がひっ迫の上、米価が下落し困っているため、御側寄物金(藩からの救済金)を借用の輩はのちのちまで特別に当卯年返済を先送りされるはずである。
一 この趣旨により、返納を済ませた分の差し戻しは多数あるので来春まで順次差し戻す。
請け取りについては御小納戸役所へ問い合わせること。
一 今年末、調印済みの割符書付(手形)は差し出すこと。
12月
この分割のことは翌春左の触あり。
御切米御足高など手形を渡し、ならびに知行所物成取締の御代官判物を渡し、金子を借用した分は、旧臘(昨年12月)の触より以前に返済を始めた者は、返済切(返済猶予)や未返済分については50年の分割で返済すること。
一 この春、御切米御足高など手形を渡し、右の触以前に金子を借用した者は全て50年の分割で返済し、手形は取り戻すこと。
一 ただし、今後は、手形〔仕送り〕申し付けた場合は、手形を渡すこと。
一 50年の分割の証文は金主へ渡した上、物成取締の判物は不用なので借主へ戻すこと。
但、50年分割の証文は金主から御代官、御蔵奉行へ差し出し保管すること。
一 旧臘(昨年12月)以前までの利息が滞った者は元金に加えて50年の分割とすること。
一 知行所物成取締については今後行わないこととする。
一 明らかに金主どもへ他からの借入金についても、御切米御足高手形や取締判物を預り置くため、もしくは手形面で仕送るため、あるいは御家中へ貸すため借用したことが明らかなものは50年の分割とすること。
一 祠堂金(寺への寄付金)などの類が明らかな書面で持っている者は、用立ててもらった分については返済必要なく、祠堂金等の名目を書き表し、双方借用の手形に引き換える。
もっともこの名目の証文面を持たない者は50年の分割で返済すること。
一 この書面で解決し難い項目があるものはそれぞれの担当へ伺うこと。
2月。
この通りの御容赦がある。
また翌辰年、御普請役の年延(猶予)が始まる。
辰年の記にあり。