名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

怪し気な話だな

元禄7年9月26日。
快晴。
この日、御慶は帯を結ぶ。
妊娠5か月。
源右衛門の女房がやって来て眉をそり落とし、仮に帯を結ぶ。
その後、取り上げ婆がやって来て、帯を加減して締め直す。
(後略)
この夜、雑談の初めに忠兵衛が話し始める。
昔から生霊死霊の話はたくさんあるけれど、そんなものは信じてはいない。
しかしながら、昨年あることを見てしまった。
妖巫女子の話に似ているけれど、目の当たりにするとその無知を悔やんでしまった。
山中角之右衛門がめんは(?)組になり改易となった際、伯父山中太右衛門は角之右衛門を密かに呼び寄せて刺し殺し、自害したと申し上げていた。
その際、太右衛門はしばらく閉門となっていた。
今度、太右衛門はぶらぶらを煩い、突然反り返りると気を失った。
隣同志だったので忠兵衛が駆けつけた。
薬などを飲ませるとようやく息をふき返した。
ただきょろきょろと四方を見ながら指さして言い出す。
「忠兵衛、あれ、あれ」と言いながら、人の顔を見たように悲しみ、震え、泣き出した。
忠兵衛が「いつものお前らしくなく恥ずかしい。」と言っても聞き入れなかった。
太右衛門親族の梅松院という浮屠(僧)が聞きつけ急いでやって来て、檀(香木)を飾り祈念し始めた。
神咒妖怪は逃げ去り、太右衛門は霊験を得る。
この後また前のように発病してしまう。
また祈念するとたちまち正気に戻る。
仏力のすばらしさに感服する。
(後略)
この夜、雑談の初めに忠兵衛が話し始める。昔から生霊死霊の話はたくさんあるけれど、未だ信じてはいない。しかしながら、昨年あることを見てしまった。妖巫女子の話に似ているけれど、目の当たりにするとその無知を悔やんだ。山中角之右衛門がめんは(?)組になり、御改易の際に伯父山中太右衛門が密かに呼び寄せて刺し殺し、自ら死を招いたと申し上げる。その際、太右衛門はしばらく閉門となる。今度、太右衛門はぶらぶらを煩い、そのうち突然反り返り気絶する。隣同志だったので忠兵衛が駆けつける。薬などを飲ませるとようやく息をふき返す。ただきょろきょろと四方を見ながら指さして言い出す。忠兵衛、あれ、あれと言いながら人を見る顔のように悲しみ、震え、泣き出す。忠兵衛が、いつものお前らしくなく恥ずかしいと言うが聞き入れず。太右衛門親族の梅松院という浮屠(僧)がこれを聞きつけ急いでやって来て、檀(香木)を飾り祈念し始める。神咒妖怪は逃げ去り、太右衛門は霊験を得る。この後また前のように発病する。また祈念するとたちまち正気に戻る。仏力のすばらしさに感服する。(後略)