名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

いよいよ文左衛門の書いた鸚鵡籠中記の始まり、まずは雷から

元禄4年6月13日、文左衛門は佐分氏へ槍稽古に出かける。
夕飯後半(1時間)過ぎると重なりあった雲が乾(北西)から湧きおこり、にわかに雨が降り始める。
人々は大騒ぎし慌てて槍を片付ける。
草履は手に持って濡れないようにする。
大雨が降り続き、強風が吹き荒れる。
ようやく迎えの下僕近友と帰宅する。
雷雨は夜明けまで続く。
この雷が服部甚蔵宅に落ちたとも。
甚蔵宅の奥には八畳の間があってそこで妻子は暮らしていた。
壁に沿って長刀が掛けてあり、その下にはひとり幼い娘がいた。
雷が鳴る中、長刀の上に雫がかかったことで火の玉が飛び回り、柱を上って消え去る。柱2本は朽木のようになる。
もし長刀がなかったら養女は災いから逃れられなかったはずだ。
長刀は落ちて少し伸びたと。
落ちた場所ではそれほどでもなかったが、台所などでは激しい音がして下女が気絶すた。
隣家には鈴木氏某がいたが、雷が近くへ落ちたので立ち上がろうとするも地震のような揺れで不覚にも倒れてしまったと。
また、大曽根にも落ちたと。
話では、雷が庭に落ちて庭にいた婆の半身が焦がされ息絶えたと。
また脇差は一腰なくなったと。
どうやらこれは以前から失くしていたと。