名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

欲に目がくらむとはこのこと

元禄7年1月29日。
前嶋小右衛門は昨年暮れに仰せ付けらた通り、この日上京する。
京で捕らえられた水谷九郎左衛門という者を請け取りに出かける。
亀名久鑑(玉置市正隠居)の僕に水谷九左衛門という者がいた。
久鑑は定家直筆の掛物を持っていたが、九郎左衛門に命じて京都で売らせた。
九郎左衛門は欲が出て、狩野永月、古筆判者、遊女と共謀しある者に見せてこう言って売りつけた。
尾張殿は財政が厳しく。やむなくこれを売らなければならなくなったと。
その時には掛物を渡さず、夕方に寸分違わない偽物を渡した。
その上これがばれるのを恐れ、その夜家に火を付けたことが露見して捕らえられた。
あるいは人を切ったともいうがはっきりせず。
永月も京都で牢に入った。
日々、偽絵を描く悪党であった。