名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

欲が出ると道を踏み外す

文政5年2月。
本町7丁目道具屋平兵衛宅へやって来た者たち。
京都仏光寺通柳馬場田川三朝。
釣もの(絹糸で大石を釣る)、石浮(水の上に石を浮かせる)を行う。
この他に色々な秘事を伝授する。
米1粒片面に百字書、富士の巻狩、唐人六十人の図、いろは四十八字、六字の名号、日蓮宗題目、ねはん像、六歌仙、大夫道中、わらい画、近江八景七福神、三社の詫宣、1代守本尊。
神1寸4方に大日本の国、都八景、東都八景、東海道五十三次唐土地理城郭、百人首、三十六歌仙、名古屋名所。
この道平の店に田川は看板として割った竹5貫目の石を付け、また1貫目ほどの石を鉢に浮かせ、銭100文を鉢の底に入れ、天秤に100文と種菓子(餅を煎餅形に焼いたもの)の煎餅などを釣る。
これを伝授されたものが大勢あり、若干の金銭を取ったようであった。
この道平は欲が出て、夫婦で謀って三朝を情夫にし、仲間に引き入れた。
三朝は騙されたと気づき、命をなげうって罰を願い出たので道平は困ったと。
この道平は程なくして落ちぶれ、それは道を外れた報いだと。