元禄17年2月4日。
巾下で炭俵を馬に積んで運んでいた者が鍛冶屋のところで立ち止まった。
それから枇杷島の方へ向かったが、火が炭俵に燃え移る。
西風に吹かれて火が燃え上がり、馬が怖がって引き返し、甲斐下屋敷に入ろうとしたが、人が集まり、これを止める。
馬を伏せ、水をかけて助けたが、少し焼けてしまう。
あるいは、鍛冶屋の炭を俵にして馬に積んだが、火が残った炭だったので西風でこの如くとも。
近頃、大沢無鉄が死霊に悩まされると。
昨年、召仕の女を叩き、その傷が元で死んでしまう。
この女が幻に現れると。
昨年の暮れから煩い、元日も家にいるのは嫌だと熱田で越年する。
こんなことから死霊といったのか。
実は老耄で死霊ではないと。