名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

逃げ回ったくせに大きなことを

元禄5年9月7日。
夕方、駿河町下で騒動があった。
後で聞いたところでは、この春まで大井孫兵衛のところにいた僕が安藤伊助の下僕から布子(綿入れ)を借りていたが、長い間返さなかった。
度々返してくれと言われので困ってしまった。
ある時、伊助の僕にいつぞや借りた着物を返そうと思うが、駿河町下に預けて置いてあるので任せてくれと誘い出した。
夕暮れ時に連れて行き理不尽にも伊助の僕を不意打ちにした。
伊助の僕は大声をあげて逃げ回った。
この声にあたりの者は泥棒と思い込み棒を携えて数百人が現れた。
田畑を踏み荒らしながらも2人を捕まえ静かになった。
伊助の僕は6ヶ所傷を負うも浅かった。
その間は脇差を抜くこともできなかった。
家に帰って言うには、おれが脇差を差していたらこんなことでは済まなかった。
残念だったと口から出まかせを言った。