名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

庶民のうさ晴らし

天保3年。
天保二卯冬御役人の評判。
下職(人の元で働くこと)の無念でごうてき(強敵、敵対者)に叱られたのは棟梁と 成隼。
あの仕打ちで親類がよくうなずいて見ていると噂されるのは白鼠の伴頭(番頭)と 竹腰。
今時話しても仕方がないのは秦の時代の天下と 石河。
格好もいいのになぜ売れないと不思議なのは持ち過ぎた娘と 志水。
親類で手を出そうとしても手を出せないのはずるい後家と 渡辺。
親の同役を見てさすがに正しい道を進もうと思うのは大星刀祢と 成主殿。
上等なものだと言われるがよくわからないのは唐もろこしの饅頭と 鈴木。
7、8分は請け合いますが早く用意したのを誉めて下さいというの出初めの西瓜と 山澄。
花も実もないが枝ぶりがよくて価値があるのは鉢植えの松と 遠山。
立ち合いもよく攻めもよいのに組んでから腰が弱いのは女の角力と 五味。
傅(守)が側にいるうちは良いけれど離れると危ないのは子どもが高見に上ること 下條。
お先真っ暗なのに人を乗せて上るのは箱根の盲馬と 渡源太左。
勤めているときは金があっても今となっては知恵ものいのが年明けの女郎と 津縫殿頭。
昔は口も聞いたけれど話せなくなったのは零落したのは開基の旦那と 成織部
口はきけても附人がいないと歩けないのは検校と 織田。
なぜ入れない無疵だと念を入れるのは弱った土用の鱣(たうなぎ)と 横井。
美味いから出しても食べたら皆があたると怖がるのは河豚汁と 小笠原。
うなずいていてももう盃がこないのは子どもの相伴と 阿部。
功労は永らくあるが他にどうしようもなく死に場所の決まった辻番の親父と 鏡嶋。
種が良いからと捨てるのを待っているのは菜園の唐茄子と 成大。
見かけと中と味わいがひどく違うのは鮒の昆布巻きと 玉置。
名だけがよくて気が抜けてはいけないものは上等な古茶と 高橋。
細工は良いけれど放っておくと狂うのは素人細工の時計と 大道寺。
当時評判の花形であっても芸に出来不出来があるのは団十郎と 中西。
誰が誉めても信仰が薄く人柄が悪いのは日蓮宗の祈祷と 荒主馬。
これがないとあちこちで困るのは暗夜の桃灯(提灯)と 高木。
やがて吹くとわかっていながら押し切って乗り出したのは肝の据わった船頭と 山吹。
疑心から愚痴をこぼすも知恵がないと言われるのは嫉妬深い亭主と 渡半十。
諸役所へ用立てしながら金儲けするのはいくつも替名のある請負師と 広瀬。
これこそ武士の鏡だと主君の名まで出るのは敵討の助太刀と 鈴善之丞。
世間に鬼はないと上方へ女があって勇ましく出かけたのは欠落者と 肥田。
出してみると最初からよくてさらに段々とうまくなるのは塩加減のいいたくわん漬けと 佐藤。
不始末をしても追い出されないのは分限者(金持ち)の次男 成吉。
善悪に強い者は義の心を備えていると自慢するのは蜂須賀小六と 石黒。
気持ちはとてもやる気でもかゆいところに手が届かないのは貧乏人の知恵と 佐枝。
よくはないけれど貧乏を隠すために植えておくのは杉苗と 横孫。
飲食の他に人並みには何も出来ないのはちんばや腰抜けと 澤井。
誰が見ても浮き沈みがわからないのは竹生島と 野一学。
巧者であっても角力をとらなければ給金が定まらない田舎廻りの角力取と 小笠原。
この度の始末は本店へ謝らないととても元へおさまらないのは密夫の女房と 千賀。
あかないうちは行けないと落ち着いても側が騒がしいのは大辰の川支(川止め)と 中村。
不孝だと言われても親の真似をしないのがよいのは岡っ引きの子と 荒大次郎。
我慢が出来なくて手を出したと言い訳できないのは傍輩の密通と。 小山。
思えばここまでよく来たと言われるのは婆の遠方への歩行と 芦澤。
見た目と違って案外美味いのは八ツ頭芋と 鳥居。
人の尻に食いついて天窓(頭)を数えて済ませるのは見張り交代の道具持ちと 永田。見るよりも聞いて皆が感心するのは古戦場の話と 碓氷。
行ったことがなくても案内すると迷わないのは須原屋茂兵と 奥平勘三。
評判はいいのに安い安いと見くびるのは太田屋の蕎麦と 細井三左。
このくらい駆けまわっても気に入らなければ仕方がないとため息するのは入婿と 永井五郎左。
出そうか出すまいかと勝手で評議しているのは遠来の珍品と 竹腰四郎左。
宝物ばかりでは利が薄いと御告げがあるのは出向いた金毘羅と 矢部。
派手ではないのでもっともらしいと奉加(寄附)が集まるのは禅宗の山和尚と 細野。

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