文政11年。
振廻(振舞、供応のこと)の定。
振廻のことはかねてから言いつけられている通り、贅沢であるので一切中止するように。
もしやむを得ぬ場合、集まった人への食事は一汁二菜、酒の肴は2種類までとする。
もちろん高値の品などは出さず、酒は何杯も出さぬように。
一 新役入りの振廻は、たとえやむを得ぬ事情があってもかたく行わないように。
一 様々な祝い事で集まる場合も、親類縁者ならびにかかわりのある者の他は集まらないように。
料理は大身であっても一汁三菜、酒の肴は3種に限り、小身の者では分限に応じ簡素にするよう心得るように。
ただし、その際はやむを得ぬ集まりであっても深夜まで及ばないように。
音信贈答の定。
一 音信贈答は取りやめるように。
もし間違えて贈ってしまった場合は直ぐに返却するように。
その中でも次の間柄での重要な慶事の場合だけは相互に軽微な品を1品ずつ遣わすことは苦しからず。
高祖父母、曽祖父母、祖父母、兄弟、姉妹、孫、曽孫、玄孫、伯叔父姑、その父母、舅、舅女、甥姪、従弟、聟、娵、あいやけ(相舅)、小舅、姉聟、妹聟、兄嫁、弟嫁。この輩であっても常々音信はお互いに断りあうように。
もし贈った場合であっても菜園物、殺生の肴の他はかたく不要とするように。
もちろん親子夫婦の間は例外とするように。
一 この他、師弟の間ならびに治療を頼んだ医師は例外であるが、分を越えてないように。
その他知行所の検見、責馬(調教)を頼んだ者へは軽微な品を送ることは苦しからず。
一 家来、知行所百姓は主人、地頭に軽微な品を送ることは苦しからず。
一 旦那寺、祈願所は軽微な音物贈答は苦しからず。
ただし、祈願についての寺社への費用、その他供え物、寄進の類はもっぱら軽微なものとするように。
一 仏事の際の香典は親子兄弟は例外で、その他聟、娵、舅ならびに喪に服する間柄の者が軽微な香典を遣わすことは苦しからず。
一 嫁娶の式ならびに家を建てることについては引き続き言いつけられているので違反することがないようと心得るように。
一 全て髪の飾りや櫛を差すことは引き続き伝えられている通り、贅沢がないよう粗末な品を用いるように。
一 奉公はもちろん文武の諸芸を怠りなく修練し、諸事武家の品行をみださぬようにし、質素倹約を取り違えて勝手に思い込み、文武の嗜みを怠ることはもってのほかである。
もっとも遊芸などに溺れ、あるいは無益の趣味などに金銀を費やすことはあるまじきことであり、引き続き奉公を第一とするように。
武士の嗜みの他には道具などに少しも趣向をこらさず、華美とならないように。
一 茶事は近頃特に流行っており、小身の者から若輩の者までも嗜んでいると聞き及んでいる。
これはそれぞれの考えもあるであろうが、若輩、壮年の輩では文武の修行の妨げにもなり、かつ費用もかかることである。
ついてはこの度特に倹約を言いつけられたので、その心得のある役人は茶会などを開催することを遠慮し、常々嗜みながらも倹約を心得るように。
この条々の考えを厳しく守り、もちろんわからないことがあれば御目付に尋ね、指図を請けるように。
もっとも背いた者があれば御目付方から調べがあるので、そのこと承知しておくように。
ただし衣服、供連は11月3日から改めるように。
子10月。
この度家中へ倹約を言いつけられたので、この倹約の間には物頭以下は平日肩衣で勤める必要はなく、羽織を着用するように。
来る11月3日より改める。
この通り、物頭以下が肩衣を着用についてはそれぞれに知らせる。
10月。
この通り豊前守殿が言いつけられたので伝えることとする。
その意を理解し、物頭以下は肩衣を着用するように。
組支配などがいる面々は組支配方へも伝えるように。
10月26日 御目付。
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