名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

開帳ってようするに寄付金集めなんですよね

文政7年。
1月25日。
朝日橋で身投げがある。

1月末。
東掛所で火の玉が出ることが評判になる。
堂が燃えるなどという話もある。

春、野間内海で義朝朝臣の首池で血が湧く。
天下に変事がある時でないとこのような事はないとの言い伝えがある。
しかし、4、5年の間は何も起こらず太平である。
首池に血が湧いたのも確かな事である。

2月19日から4月8日まで中郷常楽寺で本尊の薬師如来を開帳する。

3月14日から5月4日まで笠寺で本尊の観世音を開帳する。
芝居なども行われる。

3月2日から4月29日まで美濃谷汲で開帳する。

3月8日から5日の間、大龍寺で五百羅漢の供養が行われる。
12日には大施餓鬼が行われる。

3月1日から4月1日まで古井村善久寺で開帳する。

3月の初めから麻疹(はしか)が22年ぶりに流行する。
麻疹を煩わない者は風邪をひき、大流行する。
当年も又豊年のはしかしてどこのうちにもこめが寝て居る。
右はしかのまじない。
左の一首を (ママ)の葉の上に灸を3つすえ、川に流すように。
太夫 橘井熱五郎(これできついねつごろう)
東西東西、ここで御覧にいれる身体のたるわざ(症状、軽業とかけている)は大夫が身を整え、布団の上に乗るはしか大師の座禅組が最初です。
それから風邪が一旦ぶりかえし、熱のひどいところの容体は口上で申し上げます。
さてさて、この度のたるわざは枕の上に頭をのせ、ゴホンゴホンとしきりに咳をします。
これを名付けて声のかれのほりでございます。
さてまた、次のたるわざは寝所をそろりそろりと這い出て、柄杓に手をかけた立ち上がる。
これを名付けて咽の渇きの水食らい。
さてまた、次のたるわざは身体がしばらく弱り、あちらへドタリ、こちらへドタリ、寝所の外へ踏み出します。
これを名付けて夜中の一本すねでございます。
さてまた、次のたるわざは症状がひどくなってキリキリと舞います。
家内の者は見かねて按摩よ、医者よと走り出します。
これを名付けて医者一文字でござります。
東西東西、まずは横になります。
これから風邪にかかり、しばらく休息すると、元の通りになります。
これを名付けて禁物の毒あたり。
千度に一度成功するかもしれないことですが、双方の医者が一度に手を離すと、これがこの世の暇乞い。
念仏の声の力です。
ヤアと一番吠えたり、吠えたり。
木戸口から医者が帰ると、回復です。
薬屋病まつ。
銭成屋六世。
薮井屋ゑつ。
大熱屋うハこと。
代脉屋ひじはる。
二貼包たいふふゑ。
はしか、最初は京や田舎でまた流行り、風邪やはしかは世の沙汰、姫であろうと瞽女であろうと至極身体は辛い。
早く全快したいけれど長引く病は情けなく、付き添う人も恨めしく、うつらうつらの枕元に小言もいいたくなる。
東西東西、この後はへぼ医者に代わって代脉屋ひじはるの邪待風を御覧に入れます。
風邪の方は後ろへ戻り、煎薬でゴホンゴホン、痰が引きます。

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