正徳1年5月21日。
かねてからの約束で光明寺へ丹左・半左・弥次右・小一と文左衛門は出かける。
夕飯後、段切麦・酒などに大いに食べて飲む。
半右は泥酔し、意識がはっきりしなくなった。
そのため駕籠を借りて乗せたけれど、とても危なしかったので両脇に召仕を付き添わせ、丹左と文左衛門が付いて行った。
半右の奥へ文左衛門と丹左も入った。
長振与がやって来て様子を見て言うには、中風ではないか、とにかく大事にしないとと。
ほかの医者も呼んだ方がいいととても騒いだ。
このため遠山寿井もやって来て火燭で目を開けて診ると、目をそらさないと騒ぎ、いびきをかいている、正気がないと針を立て、薬を用いたので家の者は凍り付いた。
文左衛門は堪えられずに進み出て話した。
中風ではない。
初め光明寺で熟睡し、帰る頃に目を覚まして平家などを語っていた。
途中で小便などもしていた。
今は酩酊して熟睡していて意識がないようだが、自分も覚えがあることだと言うと、妹尼なども少し気を取り直し、いつもこのようなことがあると言いだした。
医者はなおも心配していた。
文左衛門は亥半(午後10時)に帰り、次の朝行くといつものように起きて食事もいつも通りだと座敷で話していた。
本当にどうしようもない医者たちだった。