名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

正義は負けたか

宝永7年11月19日。
昨日、磯貝善左衛門の悉皆人が牢に入る。
これは13年前に大塚村の百姓が娘を長野村へ奉公に出していたが、流産して死んでしまった。
あるいは絞め殺したとも。
この時金20両で娘の父親に謝罪し、大塚村の庄屋惣右衛門と相談して事をおさめた。
しかし今年の春、惣右衛門から金を借りていた大塚村の安左衛門は金を返せなかったので田地を取り上げられた。
このため安左衛門は怒って、惣右衛門は13年前に絞め殺したことを隠していると善左衛門の悉皆人に訴状を書かせ、目付などの役人の名にして町飛脚を使って江戸へ送った。
この書き物の中には代官などが賄賂で事を済ませたと云々。
あるいは惣右衛門が仲介したが、20両の金を娘の父に渡さなかったとも。
先年貸し置いた金があったので、盲人の娘の父は乞食をしていたと云々。