名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

これも間違いなく詐欺だ

元禄7年10月25日。
夜の雨が明け方に止む。
巾下榎木町に河野清右衛門という浪人が住んでいた。
元は沢井三右衛門の歩行の者であったが、節約のため暇を出されてここに住んでいた。朝夕の食事にも事欠き、1銭の貯えもなかった。
しかし、近頃自らこんなことを言い始めた。
私は越前の国で7000石取りの養子となり、近々迎えとして人がやってくるのでと急に家老、若党、中間、鑓持ちなどを雇い、衣服には贅を尽くし、家を買い、または借りるなど様々なことを行った。
しかし、金は少しも出さなかった。
さしあたり、やりくりのために方々で物を借り、いろいろ策を講じる。
必ず迎えが来た時にいくらかの金が手に入るので元金・利息ともども速やかに返すと。これが上の耳に入り、多くの仲間のうち8人が牢に入る。