名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

最後に水ぐらい与えてやればよかったのに

元禄7年3月3日。
にわか雨が降る。
卯半時(午前6時)、雨が止み、晴れる。
夕暮れ前、法花寺の門外で杉ノ町鍛冶屋が自害する。
死にきれないうちに寺社10人衆がやって来て尋ねた。
言うには自分には両親がいるので、貧乏であっても養い続けなければならない。
しかし、もうどうすることもできなくなってしまった。
毎日このことが頭から離れず、これが胸のわだかまりとなっていた。
今朝巳の時(午前9時)にふと家を出て、ここへやって来たが、頼るところもなく、辛いこの世を嘆きこうなってしまったと。
皆は同情したり驚いたりした。
また,この者が水を望んだが、与えなかった。
この者は水を求めてだしぬけに立ち上がったが、たちまち倒れて息絶えてしまった。