名古屋の町は大騒ぎ

名古屋でおこった江戸時代の事件を紹介

一番かわいそうなのは妾じゃないか

元禄4年11月。
今は坂崎伝四郎家老の佐治九兵衛南隣に住む幼名友弥、150石大道寺玄蕃頭組大道寺伊右衛門という者が西新町の東側に住んでいた。
親は孫兵衛であった。
同じ組村上善右衛門という者がおり、この娘を玄蕃頭の指図で伊右衛門と縁を結ぶ約束であった。
今月13日夕暮れに道具を運ぶと伊右衛門は留守にしていた。
その上、家には男がおらず女ばかりがおり、これはどこからの荷物などと言うばかりで甚だ段取りが悪かった。
それでも何とか道具を運び込むが善左衛門はこのことを聞きつけて娘を遣わさなかった。
元々伊右衛門には妾がおり、容姿が美しいだけでなく口も巧みでとても気に入っており、今さら暇は出せないと悩んでいた。
かといって玄蕃頭指図の嫁を拒むことができるはずもなく、どうしようかと考えていた。
結局、22日朝、妾を刺し殺して行方をくらましてしまう。