元禄3年11月20日。
杉ノ町通、久屋と鍛冶屋町の間南側の中ほど畳職人の親子が住んでいた。
父は兵左衛門という者でとても貧しい暮らしをしていた。
近頃、その子どもが隣家に入り、衣服や食べ物を盗むと云々。
町奉行は孝行での犯行だとして金子等を取らせる。
さらに近所の者どもにはこの者のところで畳をあつらえるようにと云々。
親子は心を入れかえて鉢開き(托鉢して歩く坊主)となる。
町奉行衆は御座の間へ召され、素晴らしい裁許だと御手自ら御羽織をひとつずつ下される。
片桐弥五右衛門・松井市右衛門のふたりであった。